2007年9月下旬に、中国の延辺朝鮮族自治州とロシアの沿海州を訪れた。
今回は、ちょうど韓国の秋夕(チュソク:旧盆)にあたる時期だったので、延吉〜ソウルの飛行機がとれなかった。そこで、今回はロシアのウラジオストク経由で新潟に帰ることにした(ウラジオストク〜新潟間には週2便、直行便が就航している)。
中国の出発地点は延辺朝鮮族自治州の琿春市。琿春のバスターミナルからは、ロシアと朝鮮に向かう国際バスが発着している。ロシアへ向かうバスは、琿春始発のスラビヤンカ行きが1日に2本(0730、1300)、クラスキノ行きが1日1本(1330)、延吉発のウスリースク行きが1日1本(0930)となっている。どのバスも、日曜日は国境の通過がストップされるため、運休となる。
琿春から、朝7時半に出発するバスに乗ってみた。切符は前日に買いに行ったが、精算がめんどくさいようで、当日に買えと最初は断られた。何とか頼み込んで切符を売ってもらった。当日、出発の20分前にバスターミナルに到着するが、バスの姿はない。そのままバスターミナルで待つこと20分、出発時刻を過ぎてもまだバスはこない。
お客が少ないようだと、出発時刻を遅らせることが多々あるようで、結局バス会社の関係者の人がバスが来たら教えてくれることになった。07時50分ころ、やっとバスが来て乗り込む。満席になるかと思っていたが、お客はたったの3人だった。
琿春のバスターミナルから、中国側の国境までは約25分、畑の中の一本道を進んでいく。国境に着くと、荷物をすべて持っておりて、税関検査と出国審査を受ける。国境の施設使用料というのが決められていて、10元だった(領収書が発行される)。乗客が3名しかいないので、検査はすぐに終わり、バスの車体の検査が終わるのを待つ。出国ロビー(というほど豪華ではないが、出国審査を終えたあとのスペース)には、免税店があり、各種タバコや酒類を売っている。
バスが来た。荷物を持って乗り込むとすぐに発車。国境施設から国境までは100メートルもない。すぐに国境を越えて、ロシア側に入ると第一関門があり、そこで停車。運転手のパスポートを調べたあと、ゲートが開く。ゲートが開くのにバスは出発しない。国境警備隊の隊員(2名いたが両方とも女性)のうち1人が笑いながらバスに戻ってきて、運転手に何か渡す。パスポートを返し忘れていたようだ。パスポートに何かはさんであったからなのか、それとも単に渡し忘れたのか、次回の通行時にどのような仕草が行われるか見てみないとこのハプニングの意味はわからない。
第一関門を過ぎて少し行くと、今度はロシア側の入国審査を行う建物が見えてくる。途中で第二関門。乗客全員のパスポートを確認。その後、入国審査のために停車。停車後、少ししてから降りてよいとの合図。中国の出国の時と同じように荷物を持って降りる。
ロシア側はまず入国審査、その後滞在登録、税関検査の順に手続が進む。すごく時間がかかるとの噂を聞いて恐れていたが、この時には、バスの乗客3名しかいなかったので、すぐに手続が終わった。それでも、入国審査にかかった時間は中国の2倍以上(でも数分)であった。その後、滞在登録のカウンターで行き先を告げ、出国カードの裏にスタンプを押してもらい、税関検査に向かう。
税関ではX線検査機に荷物を通し、税関申告書の外貨持ち込みの欄にチェックを入れてもらう(出国の際に必要)。検査自体はそれほど長くはなかった(数分)。でも、もし100人いたら、相当の時間がかかると思われる。
晴れて入国かと思いきや、なぜか生命保険を強制的に買わされた(150ルーブル)。軍系統の保険会社のようで、彼らの生活費の足しになっているのかと思う。ここまででロシアに入国する手続はすべて終わった。所要時間約20分。
再びバスに乗って、出発。第四関門は、これまた全員のパスポートチェックだが、表紙と出国カードをちらっと見ただけで、行ってしまった。
これで晴れてロシア入国。バスは途中停車地であるクラスキノに向けて走っていく。スラビヤンカまでは全区間舗装されていた。中国と違うのは、道の回りに畑がないこと。非耕作地が広がる姿は中国ではなかなか見ることができなかった。地理的にはほぼ同じ場所ながら、国境を越えるとこうも違うのかと思った。
クラスキノで乗客のうち1人が下車。クラスキノには、中国のバス会社が経営するホテルがあった。小豆色というか紫というか、近鉄電車のような色だった。
クラスキノから、終点のスラビヤンカまでも一本道を走っていく。周りを走っているのは、右ハンドルの日本製中古車。見慣れた車種(日本よりも少し古いモデルが多い)が走っているので、右側通行でなければ、北海道を走っているのではと錯覚しそうだった。
ロシア時間の13時30分(中国時間の10時30分)にスラビヤンカのバスステーションに到着(駅前。といっても、駅は貨物駅だが)。3時間弱の旅だった。琿春行きのバスは14時30分に折り返すことになっているそうだ。同じ所要時間だと、中国時間の14時30分ころには琿春に到着するだろう。
バスを降り、もう一人の乗客(ウラジオストクに住む中国人)と一緒に船着き場へと向かう。どこにも道しるべが出ていないので、道を教えてもらわなければ右往左往するところだった。
船着き場からは、ウラジオストクに向けて2種類の船が出ていることが分かった。ひとつは一般のフェリーで所要時間2時間40分。スラビヤンカ発06時40分と17時00分発。もうひとつが水中翼船「コメット」号で、所要時間1時間。スラビヤンカ発16時40分(毎日)。朝にも便があるが、曜日によっての運行のようだ(ロシア語が読めないので分かりません。誰か画像ファイルを見た人でロシア語が分かる人は10時00分発の運行曜日を教えてください)。
船が出るまで、3時間ほどあるが、荷物もあるので、散歩というわけにもいかない。結局、港で日光浴をして過ごす。日本からの中古車が港から出てきているのを見ていた。船着き場は港の入り口なので、切符売り場と簡単な売店以外は何もない。
16時20分頃になって、やっと乗船開始。日に当たって疲れたのか、船に乗ってからの意識はほとんどなかった。ただ1時間のはずなのに、やけに時間がかかるなぁ、と思っただけだった。風が強かったため、欠航はしなかったものの、ウラジオストク港36番埠頭(S-56潜水艦の近く)に到着するまでに2時間強かかった。
港からは、琿春から一緒に来た中国人の旦那さんの車に同乗させてもらい、市内の中心部まで行った。長い一日だった。
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